ディミニッシュ・コード

ジャズ理論 目次(その他の項目)

音楽理論的にはディミニッシュ・コードの3和音 例えば Cdim と Cdim7 は分けて考えるのですが、実際のジャズの演奏の中では、この二つを明快に分けて考えて演奏することはないと思います。例えば仮に楽譜に3和音で Cdim と書いてあっても、あまり気にせずにCdim7 として演奏することが多いと思います。

3つのディミニッシュ・コードタイプ

分析時のコード機能は3つのタイプ全てDimを丸で囲み示します。

①パッシング・ディミニッシュ (ディミニッシュ・コードの上行アプローチ)

ディミニッシュ・コードで最もよく使われるタイプで、ダイアトニック・コードに対して半音下から上行するアプローチです。多くの場合、同じ増4度の音程を持つセカンダリードミナントの代理の役割を果たしています。以下が良く使われるパターンです。(ディミニッシュ・コード単独でダイアトニックコードに半音下からアプローチすることも多いです)


例① ♯Ⅱdim7
|C |A7 |Dm7 |~  →  |C |C♯dim7 |Dm7 |~
A7に含まれている増4度音程(ド♯とソ)をもつC♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例②  ♯Ⅲdim7  
|Dm7 |B7 |Em7 |~  →  |Dm7 |D♯dim7 |Em7 |~
B7に含まれている増4度音程(レ♯とラ)をもつD♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例③  ♯Ⅳdim7
|FMaj7 |D7 |G7 |~  →  | FMaj7 |F♯dim7 |G7 |~
D7に含まれている増4度音程(ファ♯とド)をもつF♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例④  ♯Ⅴdim7
|G7 |E7 |Am7 |~  →  |G7 |G♯dim7 |Am7 |~
E7に含まれている増4度音程(ソ♯とレ)をもつG♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

②クロマティック・ディミニッシュ   (ディミニッシュ・コードの下行アプローチ

クロマティック・ディミニッシュはダイアトニックコードに下行してアプローチするコードです。
パッシング・ディミニッシュ と違い強い解決感がないためなのか、あまり パッシング・ディミニッシュ に比べて目にする機会は少ないと思います。
最も使用頻度が高いのが(ハ長調の場合)|Em7 |E♭dim7 |Dm7 |  になります。


③オグジュアリー・ディミニッシュ (ディミニッシュ・コードの補助的?予備的?アプローチ)

※?とつけたのは、適切な日本語の訳がないようなので、こんな感じの意味かな…程度に捉えてください。

オグジュアリー・ディミニッシュ は曲中では、ほとんど出てくることはなく、主に使われる時はアレンジの時かな…と、個人的には思います。よく使われるのは Ⅰ6、 ⅠMaj7 や Ⅴ7が長い間使われる時に、この オグジュアリー・ディミニッシュ を挟んで雰囲気を変えたりします。


① |C Cdim7 | C   |

② |G7 Gdim7 | G7 |

※転回系コードの進行

コード進行の中で  
① |D♯dim7 |C/E  | ~  
② |F♯dim7  |C/G | ~ 
などのディミニッシュ・コードが転回系に進む場合があります。このようなケースの場合2つの考え方ができます。

パッシング・ディミニッシュ として考えた場合
①なら本来Em7に行くところが代理コードして違うトニックコードに進んだ。②なら通常ならG7に進むところ、よくあるパターンとしてG7の前にC/Gが置かれたと考えて、 パッシング・ディミニッシュ として分析する。

オグジュアリー・ディミニッシュとして考えた場合
①の D♯dim7 は転回するとCdim7 ②の F♯dim7 も 転回するとCdim7  したがって両方とも次のコードに対して、きわめて オグジュアリー・ディミニッシュ に近い響きを持っていると考えて、 オグジュアリー・ディミニッシュ として分析する。

どちらの考え方を選ぶかは、そのコードが置かれた、前後の流れ、テンポやコードの配置・拍数などを総合的に考えて決めるのが良いと思います。