ジャムセッションで取り扱う主なリズムについての解説

リズムの呼び方については統一的なものがなく、特にジャズ以外のリズムを演奏する時(ラテン系やファンク系の音楽等)は言葉の使い方、各演奏者のイメージがバラバラです。ここでは、ジャズのジャムセッションで、よく使われるリズムをスマホやタブレット用のアプリ「I REAL PRO」の中で使われているリズムの呼ばれ方を中心に使って説明していきたいと思います。

Up Tempo Swing (Fast Swing)
「I REAL PRO」の設定はテンポ240になっていますが、感覚的にはテンポ200以上はアップテンポと呼んでいいと思います。 

Medium Swing
テンポ140前後のイメージで良いと思います。

Slow Swing
よくバラードと呼ばれているジャズの中でよく使われるスローとは違うリズムです。簡単に説明すればミディアムテンポで演奏していたものを、そのまま遅くしたものとイメージしてもらっても構わないと思います。テンポは80位をイメージしてください。

New Orleans Swing or Second Line
あまり使われることがないリズムですが、最初のワンコーラスとかに使ったりすれば楽しさ倍増だと思います。
ただ各演奏者の持っているイメージがバラバラなので、このリズムを使う時は出てきたリズムを楽しみましょう!

Waltz (Jazz)*
ジャズミュージシャンが普通にワルツと言ったら、こちらのリズム。ジャズワルツとは通常言わないです。

Fly Me To The Moon
ジャズのワルツでの演奏。下の同じ曲でのイーヴンでの演奏との違いを聞き取ってみてください。

Waltz (Even)*
通常のセッションで使うことが、あまりないリズムだが、Fly Me To The Moon のヴァース等、曲の一部をこちらのイーヴンワルツで演奏したりするなどアレンジ的に使用したりすると雰囲気が変わって面白いと思う。

Fly Me To The Moon <Ella Fitzgerald>
Verseはルバートで演奏しているが、コーラス(0:46~)をイーヴンのワルツで演奏しています。

6/8*
正直「3拍子と、どう違うか?」を説明できないです。ただし、リズムアレンジなので4拍子の曲で1小節を二つに割って、それぞれを3拍子にした場合は、元々の一つのまとまり(例 Fly Me To The Moonでいったら、最初の1小節目のFly Me To Theの部分)をはっきりさせるために、6/8でと言わないと、(単純にワルツでお願いしますと言うと)違うリズムになってしまいます。

Bye Bye Blackbird <Joe Cocker>
ヴォーカリストの発声、テンポ、バンドの編成など、あらゆる面でロックやブルース色が強くなる例
My Romance <Venessa Perea>
こちらはジャズのイメージで聞こえてくる6/8(途中で4拍子との変換あり)同じ6/8でもテンポや編成でかなりイメージは変わってきます。

※ *印のついている上の3つは厳密にいうとリズムの種類というよりは拍子の違い。「I REAL PRO」にこの3つのリズムパターンがないのは、スウィングのリズムで単純に拍子を3拍子にすればよいだけだからと思われる。ただし、実際のジャムセッションでは「〇〇(曲名)をワルツでお願いします」とリズムパターンの一つとして使われます。

Slow ( Jazz Slow , Ballad Swing , Ballad )

Even Slow

12/8 Slow

Summertime <Janis Joplin>
この演奏はジャズでよく演奏される時に使われるコード進行や構成等を少し変えてありますので(キーの設定もジャズとは大きく違います)単純にこの曲を12/8で演奏したからっといってこの曲の雰囲気にはならないです。しかし、やはりこのリズムで演奏すると、ロックやブルースの雰囲気に近くなるのは確かです。

Latin
厳密にいうと、ラテンとはリズムの呼び方ではなく(音楽の)ジャンルの呼び方。ラテン音楽と呼ばれているものの中に幾つものリズムの種類があります。ただし、ジャズの中でラテンといったら概ね「アフロ・キュ―バン」を指すことが多いかな… 

Almost Like Being In Love <Eydie Gorme>

Afro 12/8
ラテン(アフロ・キュ―バン)は1拍が等分割なので(通常の八分音符)1拍を3分割したい時はこのように言うと伝わります。
※ 「I REAL PRO」のリズムパターンの中にアフロというリズムが一つしかなかったので、筆者も最初、ラテン=イーヴン アフロ=12/8 という認識でいたのですが、それだけでは、どうやら不完全らしいです。これはラテンという言葉にどこまでの意味を含ませるのか人によって違うために起こることで、よくあることです。もし言葉の食い違いなどが起こった場合でも、しっかりと一つ一つの用語を理解して自分の言葉で説明できるようにしておくことをお勧めします。

Bossa Nova

Samba

早めのボサノヴァとサンバは違いが分かりずらい(そもそも違いがあるのか?)という問題がありますが、筆者の親しくさせてもらっているドラマー曰く「ジャズの中では概ね一緒で構わない」とのことです。(厳密には当然違うということですが)

It Don’t Mean A Thing <Diane Schuur>
この曲を(このタイトルで)サンバのリズムで演奏してしまうという意欲作。
※早めのボサノヴァとサンバの違いが分かりづらいことがあると書きましたが、この演奏は誰が聞いてもサンバとすぐ分かる演奏。

Even 8th

Even 16th

以下はリズムの呼び方というよりも音楽のジャンル名を伝えることによってイメージを伝えている感じ。
特定のリズムパターンがあるわけでもないのでイメージは演奏者によりバラバラなので、必ずしもイメージ通りに演奏してもらえないのは、セッションでは致し方のないことです。それよりも、以後一会の精神で出てきたリズムに対して自分が反応していきましょう!

Funk

Reggae

Rock   
Route66 <Rolling Stones>
たまには、こんな感じで演奏しても盛り上がって面白いかもしれません!

Shuffle
On A Slow Boat To China <Bette Midler And Barry Manilow>
Swingのリズムの時とヴォーカルは基本的には変わらないので、手っ取り早く盛り上げたいときには良いかも!
※リズムをロックにする時は8分音符がイーヴンになりますので歌い方、演奏共にSwinの時と変える必要があります。