レフト・ハンド・ヴォイシング

レフトハンドヴォイシングその他の項目についてはこちらから

レフト・ハンド・ヴォイシングとは、簡単に言いますと、ジャズの演奏を(ベースがいる状態で)している時のピアニストの左手の押さえ方です。ジャズは、そのほとんどの演奏を各自即興的に演奏します。それでも音楽としてまとまるのは各パートごと役割分担が決まっているからです。例えばピアニストはベースがいる状態では鍵盤低音部は、ほとんど演奏しません。その理由は ピアニスト が 鍵盤低音部を自由に演奏してしまいますとベーシストの演奏と音域が、ぶつかってしまい音楽的に聴きづらいものになってしまうからです。

このようにジャズでは音楽全体の低音部はベーシストに任せて、ピアニストはジャズの雰囲気がでるようなハーモニーを心がけます。もちろん誰かの伴奏をしている時は両手で伴奏するのが基本ですが、ピアニスト本人がアドリブ演奏をする時は通常右手がそれを受け持ち左手は(ジャズっぽい)ハーモニーを担当します。

このようにピアニストの左手は、伴奏の時もアドリブを取る時でも、ジャズっぽい響きになるように独特の押さえ方をしますので、 レフト・ハンド・ヴォイシング と名前が付けられたものと推測されます。

※時々ジャムセッションで「ピアノのコードの響きが重いなぁ」と感じて、ピアニストのコードの押さえ方を確認すると、ほとんどの場合、このレフト・ハンド・ヴォイシングが守られていないです。そして独学でジャズピアノを学んでいる方に多いような気がします。これは、どうしても学ぶ対象がアドリブに傾きやすいとか、レフト・ハンド・ヴォイシングについて細かく丁寧に説明されている書籍が、あまりないなど、ある意味致し方ないとは思います。ただハーモニーは、音楽の3要素、リズム・メロディー・ハーモニーの一つでもありますし、ハーモニーは、サウンド面の土台というべき部分なので、ぜひともマスターして頂きたいと思います。

※ レフト・ハンド・ヴォイシング はコードの押さえ方に、ほとんどルートの音が含まれないので、ルート・レス・ヴォイシングとも呼ばれています。