SFDとしての♭Ⅶ7とM.I.としての♭Ⅶ7の違い

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この項に関しては、かなり独自の感覚です。演奏していて従来の多くの理論だと拾い切れていない部分があるような気がしていまして、ある意味「こんな考え方もあるよね?」的な問題定義だと思ってください。

私がなぜSFDとしての♭Ⅶ7とM.I.としての♭Ⅶ7を分けて考えるのかというと、多くの理論書は、 ♭Ⅶ7 のコードスケールをリディアン♭7だけで説明しているように思えます。

ただ、演奏していると、ここはミクソリディアンでもいいよなぁ。と思えるところが多々あります。

この感覚は 私がわざわざ声高々に言わなくても、多くのジャズミュージシャンは感覚的に分かっている部分だと思います。つまるところ「どっちでもいいんじゃない?」っていう感覚です。

確かに、その通りなのですが、初心者の方にとっては、この 「どっちでもいいんじゃない?」 は、結構な確率で「で、どっちなの?」という感じで困ると思います。せっかく理論のサイトを書いているのでこの際、本サイトの基準を示したいと思います。

♭Ⅶ7 のスケールの可能性は リディアン♭7 か ミクソリディアン です。この両者のスケールの違いは1音のみ。スケールの4番目の音が♯するか♮のままかです。たとえばハ長調でいえば、 ♭Ⅶ7 のコードはB♭7になり リディアン♭7 か ミクソリディアンの差はミの音が♮か♭かです。

ミの音はハ長調にとって第3音なので ♮か♭ は結構重要かと思われます。簡単に説明するとハ長調との調性的な距離間で決めるのがいいと思います。すなわちハ長調にできるだけ近い感じで演奏したいならミが♮になる リディアン♭7 。ハ長調から遠く離れたい感じで演奏したいならミが♭になる ミクソリディアン を選ぶ。これが私の基本的な考え方です。

ただ実際の曲の中ではメロディーとの関係、前後のコードとの関係、曲のテンポや、コードに対する拍数など、いろいろな観点からスケールを考えのがいいと思います。

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※1 ※2 メロディーから考えて(著作権に詳しくはないのですが、メロディーを書くと引っ掛かりそうなので省略します。各自で調べてください)3~4小節目、7~8小節目は調性から離れている音が使われているために、一種の転調のような感覚がありM.I.として分析して( ミクソリディアン またはリディアン♭7二つの選択肢の中で比べた時) 元の調性から遠くなる ミクソリディアンを選択。もちろん次のコード(元の調性)に、より滑らかにつなげるためにリディアン♭7の選択も可能。

※3 メロディーのレの音から考えて二つの選択肢 ( ミクソリディアン またはリディアン♭7 )から リディアン♭7 を選択。(ここでは理論的にはミクソリディアン の選択は考えにくい)

※4 今回のテーマとは関係ないがE♭Maj7のスケールにイオンニアンの選択も可。転調やモーダルインターチェンジコードとして分析も可能だが、2小節と長いので、今回は元の調性を意識させるためリディアンを選択。