ジャズの魅力について

それはズバリ「ジャズにしか出せない音」だと私は思います。もしかしたらジャズの代名詞かもしれないアドリブもスウィングも、詰まるところ「ジャズにしか出せない音」を出すための手段にすぎないのではないか…とさえ思っていたりもします。

ビル・エバンス「マイ・フーリッシュ・ハート」冒頭のとろけるような音

マイルス・デイヴィス「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の最初のぶっきらぼうなフレーズ

ジャッキー・マクリーン「レフト・アローン」の最初の闇を切り裂くような鋭い音

ソニー・ロリンズの「セント・トーマス」3分55秒頃に突然現れる、まるで「ビッグバンでも弾けたのか!」と叫びたくなるような無限の広がりを感じるサウンド

他にも、キースジャレット、セロニアスモンク、チェットベイカー、ジョンコルトレーン、チャールスミンガス、ジャコパストリアス、ビリーホリデイ、エラフィッツジェラルド、サラヴォーン、阿部薫 まだまだここには書ききれないほど僕を魅了してやまないミュージシャンがたくさんいます。そして、どのミュージシャンも聞いたこともないような音で、今も私の心を揺さぶり続けてくれます。

「ジャズでしか出せない音」「ジャズでしか聴けない音」それは、グルーヴが作り出す渦の中で、アドリブによる心の奥底から湧いてくる祈りのようなフレーズの連続。そんな極限状態で放たれた魂の音。その音が 人を魅了しないわけがない。私は、それを信じて疑うことはありません。