マイナーの曲で主和音のⅠmが3和音のままで表記されていることが多々あります。これは「3和音(の響き)で演奏しなさい」という意味ではなく、「第4音のコードトーンは自由に選択してください」という意味にとってください。そして 選んだ第4音のコードトーン からコードスケールを選択します。
ジャズのマイナーの曲では主和音に、よくⅠm6のコードが選ばれます。
理由は(私の憶測ですが)Ⅰm7は転回するとMaj6となり(例 Am7を展開するとC6のコードが出てくる。そもそもこの二つのコードの構成音は Am7ラ ド ミ ソ C6 ド ミ ソ ラで全く同じ)マイナー感が薄くなるので、マイナー感が強く望まれる時は選ばないです。またⅠm(Maj7)は不協和音の響きが強すぎるため(インパクトが強すぎる)にメインのコードとしては選ばれない傾向があるような気がします。
よってジャズではマイナーの曲では、主和音のⅠmをⅠm6で演奏するのが多いのですが、私はこのⅠm6の時のコードスケールに前々から疑問がありました。
マイナーには3つのスケール(ナチュラル・ハーモニック・メロディック マイナー)があり第4音を選択したら、その音が含まれているスケールを選ぶのが基本です。ですのでⅠm6を選択した場合は第6音があるスケールは3つの中でメロディック マイナーだけなのでコードスケールは メロディック マイナー となります。
これは、コードスケールの導き方はそのコードが属する調性に基ずくのが基本。その考え方に異論はないのですが、演奏していてどうしても、普通の感覚として他の選択肢があるような感じがしていました。
私の感覚では、マイナーの主和音としてのⅠmをⅠm6として考えた時、又は マイナーのダイアトニックコードが続く時 例上記のサンプル曲 Alone Togetherの冒頭部分等) のコードスケールは、3つのマイナースケール(ただしハーモニックマイナーは増2度音程がありアドリブとしては使いずらいスケールなので事実上は選択肢はナチュラルマイナーとメロディックマイナーの2択)とドリアン(6)(これは僕が適当に考えた造語です)を自由に選択できる。(ただし、実際に鳴っているコードの響きと、ぶつかってしまう音を含むので長い音で使用する時などは響きがぶつからないようよく聞いて注意する)
※ドリアン(6)とは、つまるところナチュラルマイナーとメロディックマイナーを足して2で割ったようなスケールです。ドリアンスケールは通常第6音はスケールノートです。今回のⅠmの場合、第6音はコードトーンとして使用されるので、通常のドリアンスケールと分けて考えるため ドリアン(6) 名付けてみました。(もしかしたら、既にそういう呼び方をされている方がいらっしゃるかもしれませんが)
結論
当サイトではマイナーのⅡ-Ⅴ-Ⅰが、安定したマイナー感を出している時、メロディックマイナーの他に、ナチュラルマイナーやドリアン(6)もスケール選択可能という立場をとります。それを当サイト独自の言葉でマイナー・ トニック・ スケール < Minor Tonic Scales> (略記 Mi.Tonic)と記します。
あまり上手くない説明で長々と書いてしまいましたが、内容自体はある一定以上のレベルのジャズミュージシャンなら普通に演奏している感覚だと思います。ただ、私が読んできた理論書の中には、このことについて書かれている文献を読んだことがないので、今回、ちょっと書いてみました!(既にあるかもしれませんが…)