エクステンディッド・ドミナント

ジャズ理論 目次(その他の項目)

完全5度で下行で解決するドミナント7thコードが幾つか繋がったコード進行です。
略記はExtを丸で囲みます。 通常アナライズはローマ数字を使ってそのキーの主音からの音程を表すが 、この機能は他の機能との重複を避けるためにアラビア数字で表し( )で囲みます。そしてエクステンディッドコードとアナライズされた場合のスケールはミクソリディアンです。

完全5度で下行で解決する繋がっている最初のドミナント7thコードは *1*強拍小節 に置かれるために(何も転調に対する準備はないが)軽い転調感がある。この曲のサビの2小節目で調性外の (実音で) ♮ミが出てくるのは、その転調感に基づく。

*1* 拍子に(4拍子の場合) 強 弱 中強 弱 というのがあるように、小節やコードにもリズムがあります。楽譜の小節線や複縦線などは文章でいう 、 や 。 にあたります。下の曲の9小節目、D7が置かれている場所は、新しく音楽が仕切りなおされるところですので、強拍小節になります。

I Got Rhythm サビの部分の分析例

※画像をクリックすると拡大されます。

他の理論書では、このエクステンディッド・ドミナントのアナライズを、最初のコードだけアナライズをして後のコードはスケールも変わらないので空白のままにしておくのが、主流のようですが、私はどうしても、それだと見た目が気持ち悪いので、確かに2度手間的なところはあるのですが、一つ一つのコードにちゃんとアナライズを書いていくことをお勧めします。

I Got Rhythmについて補足

ジャズミュージシャンの会話で、よく使われるフレーズで「 循環」 の曲という言葉があります。この言葉は意訳になり英語では「リズム・チェンジ」の曲となります。

「リズムチェンジ」の語源なのですが、今回紹介したI Got Rhythmのコード進行(このコード進行を英語でチェンジとも言います) I Got Rhythm チェンジ 略してリズムチェンジと呼ばれています。


※あくまでも I Got Rhythm は「リズムチェンジ」 の元ネタということであり、実際にジャズで演奏する時はアドリブが演奏しやすくなるように I Got Rhythmのコード進行 を元にコードや小節数を変更して演奏します。
※また純粋なリズム・チェンジの曲、循環の曲としてジャズの中で演奏されるのは、ほとんどの場合、ソニーロリンズ作曲のオレオという曲になります。

リズム・チェンジ はジャズの演奏の中でブルースと共に、とても大事にされている形式になります。聞いた話にはなりますが、ピアニストのハービーハンコックは「全てのスタンダードチューンはブルースとリズムチェンジのヴァリエーションである」と発言しているそうです。

そして、大事にされている理由ですが、2つの理由が考えられます。

まず一つ目は今回取り上げた エクステンディッド・ドミナント が大胆に使われている曲 であること。
※リズム・チェンジの語源にもなっている、 I Got Rhythm は(これは個人的な憶測になりますが)初めてこれだけ大胆にエクステンディッド・ドミナントを使った曲なのではないかなと思っています。(または、それに準ずるような役割か?どなたか理由を知っている方いらっしゃらないでしょうか?)

大事にされている二つ目の理由は、リズム・チェンジが日本語で使われる時の意訳された表現「循環」の語源は、この曲の半分以上を占めるだろう、最初の2小節のコード進行 Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ です。この2小節は、ほっとけば永遠に繰り返すことができる→ぐるぐる廻れる→循環する となり、 循環 の曲と呼ばれるようになったものと思われます。

この二つの要素は、数多くのスタンダードチューンの中に含まれています。ハンコックが言ったとされる 「全てのスタンダードチューンはブルースとリズムチェンジのヴァリエーションである」 の所以だと思われます。