カテゴリー: ジャズ理論

ジャズ理論 確認問題

ジャズ理論 目次(その他の項目)

各ページに掲載されてる楽譜をクリックすると拡大されて綺麗に印刷しやすくなります。

① ダイアトニックコード  解答

② セカンダリードミナント  解答

③ セカンダリードミナントに対するリレイティッド コード 解答 

④ エクステンディッドドミナントとそれに対してのリレイティッドコード  解答

⑤ サブスティチュートドミナント 解答

⑥ スペシャルファンクションドミナント  解答1  解答2

⑦ スペシャルファンクションドミナント2  解答

⑧ ディミニッシュ・コード  解答

上記までの問題は長調を前提にしたものです。
短調やモードの影響を受けている曲などは、
長調の場合と違って土台になる音階が複数あったりして複雑なので、これといったパターンがないようです。長調以外の曲でコードスケールを出すときは、各コードタイプがどういう性格のものかを考慮しながら、一つ一つコードスケールを出していくことをお勧めします。

⑨ マイナーダイアトニックコード  解答

⑩ モーダルインターチェンジコード 解答

印刷用 全問題 と 全解答

分析例 訂正版 うちで踊ろう

前回出した「うちで踊ろう」の何を間違えたかというと、キー設定を間違えました。理由は明るい曲で♯が1個だから(この楽譜は星野源さんが掲載しているものから作成)ト長調で分析しましたが、終わってみて、あれれ主和音(Gコード)が一つも出てこない!それは、おかしいだろう!ということで、キーを再設定することにしてみました。

それで今回はGの並行調であるEmで分析してみました。ま、この曲をマイナーと設定してしまうには、実際の曲の雰囲気がマイナーには聞こえないので、異論があるかもしれませんが、僕の知識の中では、キーGのままだと、どうしても腑に落ちないところがあり、Emとして分析してみました。もしかしたらご本人が「マイナーじゃないよ」って言われてしまうかもしれません… どなたかのYouTubeで、このコード進行が使われているということで他の曲が何曲か上がっていたので、星野源さんは、あまりキーなどを気にせず、このコードのパターンから心地よいサウンドやメロディーを作っていったのかもしれませんね。

①まずは矢印・カギ括弧を記載。転調の有無の確認。ダイアトニックコードの確認。

②余ったコードの中から、ドミナント7thコードを中心に分析する。

この曲の特徴
メロディーがペンタトニックスケールだけで作られている。しかも音域は狭めの1オクターブ。一番高い音もレ。これは男性女性プロアマ関係なくできるだけ多くの人に参加してもらうためかと思います。
この曲はCmaj7とEm7のコードを中心に展開されるわけですが、ちょっとづつ違っているコード付けが凝っているなと思います。メロディーがとてもシプルなのに、おしゃれに聞こえてくる要因の一つかなと思います。

※1 サブドミナントから始まる曲は、やはりおしゃれな雰囲気になります。
※2 G7はCmaj7に進行するところを同じSDコードのAm7に偽終止のような感じで進みます。
※3 F/Gはポップスなどで、よく使われるコードで通常のドミナント7thよりも柔らかい響きがします。
※4 この進行を私は上手く説明できないのですが、おそらくⅤ7の偽終止で♭ⅥMaj7のCMaj7に進む前にⅡ-Ⅴを挟んだ。そんな感じでしょうか。上下の段に同じフレーズで違うコードがつけてありますが、※4のもっている、ちょっとした転調感が、同じフレーズの繰り返しに緊張感を与えてくれます。
※5 Ⅴ7の裏コードと考えると、ここは偽終止で説明できるかと思います。
※6 これは音楽学校ではコードとメロディーがあっていないと判断されて、もしかして✖をもらってしまうかもしれない箇所です。通常は(私なら)このコードは3和音ですませるかなぁ。どうしても、このFよりも、濃い響きがするF7の響きが欲しかったんだと思います。ま、メロディーのぶつかりは一瞬だし、伴奏のしかたで、どうにでもなるわい!って感じかな。理論はあくまでも理論。最後は欲しい音を自分」耳で!その良いサンプかもしれません。
※7 続くはずのG7が省略されたと考えてください。
※8 ここにEm7を持ってくると、この曲は終われます。この主和音であると思われるEm7が、CMaj7に変わったりすることによって、終止感のない、ずっと続いているようなながれが、ずっと踊っていたい。そんな感じを演出しているのかもしれません。
※9 次のF7がなければ、Ⅴ7で終わるパターンです。(主和音を)イメージさせて終わるにくい演習です。
※10 は※9に裏コードとなり役割は一緒で主和音のEm7をイメージさせて終わります。

こうやって改めて分析をしてみると、最初に明るい曲なので、、、と書きましたが、そんなバカ明るい感じの曲でもないので、やはりキー設定はEmでいいかなぁ。ただただ悲しいわけではなく、せつないというか、でも希望を持っていなくてはいけないし、、、そんな感じでしょうか。ま、言葉で説明するようなものじゃないんでしょう。それが音楽っていう事で。

以上、私なりの「うちで踊ろうの」コード分析でした。

分析例 やっちまったかなぁ編 うちで踊ろう

※全部アナライズしてから、これじゃこの曲の特徴を捉えられていない!ということに気が付き、最初からやりなおすことにしました。失敗例?…とは、言い切れない(ペコパ風で自分でやさしく自分に突っ込んでみました)けど、もったいないから、あげておきます。

ドミナント7thコードを中心に矢印やカギ括弧をつけ転調の有無を確認(この曲は転調していない)して、ダイアニックコードの分析を書き込む。

つまるところ、すぐ上の楽譜で分析されたコード以外には何らかのこの曲の調性以外の音が入っています。すなわち、工夫されているところ(ポイント?)と、なりえるコードです。メロディーは音階の音しか使われていないのに、おしゃれに聞こえてくるのは、いろいろな仕掛けが施されています。(ダイアトニック・コードは全体の半分以下)ぜひ、仕掛けを盗んで、ご自分のオリジナルに応用してみましょう!

とは、いうものの、このページは、あくまで「やっちまった編」ではあるのですが… 後日、自分なりに考えたこの曲の特徴を生かした再分析をしたいと思います。

②残っているコードの中からドミナント7thコードを中心に、今度はSed.D・Ext.D・Sub.D・SFDそれに付随されるRelコード等を分析する。

この曲は以上で全ての分析が終わります。

この曲の特徴を説明するのは、訂正版を作ってからにしたいと思います。

分析例1 Take the “A” Train


-1 ドミナント7thコードを中心に分析して矢印や、カギ括弧を書き込む
-2 転調の有無を確認
  (この曲はサビでKeyFに転調したとも考えられますが、今回は Key Cのままで分析しました)
-3 ダイアトニック コードの分析をする

  

②  残ったコードの中から、さらにドミナント7th を中心に分析して
   Sed.D・Ext.D・Sub.D・SFD、それに付随されるRelコードの分析をする

③さらに残りのコードを、M.I.・Dimコード等で分析します。(この曲では既に分析は終了しています)

※1 3和音で書かれていますので、4つ目の音は曲想などから自分で設定します。(この曲はMaj6が選ばれることが多いようです)

※2 #11の表記は、メロディーにその音が含まれているので気をつけなくてはいけませんが、アドリヴを演奏する時は、この音を気にする必要はないので、コードスケールはミクソリディアンを選びました。また、このコードはG7に解決していますが、一つコードを挟んでいますので、矢印を省略して( )表示としました。

※3  KeyFに転調したと考えた時のコードスケールはイオニアンになります。

④レフトハンドヴォイシング(ピアニスト用)とコードスケールを書き出します

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分析の仕方

ジャズ理論 目次(その他の項目)

ジャズのスタンダードチューンである、Out Of Nowhere を使って分析の仕方を解説していきます。

※印刷用 このページの楽譜がまとめてあります。

①楽譜を用意する。(今回も著作権がよく分からないのでメロディーは記載しないでおきます)

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ドミナント7thコードを中心に、矢印やカギ括弧をつける。転調の有無の確認。
(この曲では転調はありません)

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③ダイアトニックコードの分析を書き込む。

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※1 ドミナント SUS47 のコードスケールは基本的にはミクソリディアンだが、3度の音は、 SUS47 の響きとぶつかるので、スケールノート(注意すべき音)になり第4音がコードトーンとなる。よって、通常のMixo.と分けるためにMixo(4)と表した。また、機能も詳しく書かれている理論書を見たことがないので、はっきりとしたことは言えないのだが、 ドミナント SUS47 は増4度音程がなく強い解決感はないが、主和音の前に置かれた時や、今回のようにⅤ7の前に置かれた時も、ドミナントとして分類しました。

※2 楽譜に書かれているコードが3和音の場合は、前後の流れから第7音(又は第6音)を推測して、コードスケールを決めます。

④残っているコードの中からドミナント7thコードを中心に、Sed.D・Ext.D・Sub.D・SFD、それに付随されるRelコード等の分析をする。

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※1 頻繁に使用されるモーダルインターチェンジコードの表には載っていなかったコードですが、Eb7が5度下、または半音下のコードに解決していないのと、メロディーから モーダルインターチェンジコード を予測します。Eb7はCフリジアンモードから派生するコードと考えることができます。

※2 通常Ⅴ7/Ⅱではファは♯するが、 メロディーにファ♮の音があるためコードが変化したもの。

※3 少し細かいですが、SⅤ7/Ⅴは通常Ⅴ7に進むので、今回はⅤ7sus4に進んでいるので、本来進むべきコードに解決していないので、一応(   )をつけておきました。

※4 本サイトではⅤ7sus4は解決感は弱いですがドミナントとして分析します。

⑤さらに残りのコードを、M.I.コード・Dimコードなどで分析する。

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⑥導き出されたコードスケールを書き出す。

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分析終了です。

はじめに

ジャズ理論 目次(その他の項目)

私は元来とても怠け者です。この理論のサイトを作ろうとした理由の一つに、生徒さん達にジャズ理論を、なかなかうまく伝えられず何か教科書的なものが、あったほうが楽だなぁ… というのも正直あります。高校受験以降は、まともな勉強をしてこなかったツケでしょうか、まともな文章が書けていないことは重々承知です。ただ、それを気にしすぎると前に進めなくなると思いますので、幼稚な文章であることをわかった上で、あえて先に進ませていただこうと思います。そして、ある程度キリのよいところまでいったら、すこしでも読みやすい文章になるように推敲していきたい思います。ですので、今現在このサイトの多くはラフスケッチ程度の段階と思ってください。 皆さんには大変読みずらいものであることを予めお詫び申し上げます。また、楽譜などの記載に関して単純なミスも多いかと思います。もしお気づきの場合、連絡して頂けると、とても助かります。

このサイトでは音程、音階、コード等の基本的な音楽理論は省かしてもらっていますのでご了承ください。

①このサイトで書かれている理論は、著者の独自解釈が多く含まれています。

本サイトは私が、今まで学んできたジャズの理論を土台に、 「よりシンプルにより実践的に」に重きを置いた上で、私が実際に演奏する時の感覚などを出来るだけ理論に反映させようとしたものです。ですので一般的に出回っている理論書と多々違っているところも多いのですが、それは私の解釈だと思ってください。そして、みなさんも、いろいろと学んで頂き、各自の感覚を大事にした独自の理論を構築していくことを望みます。

② 全ての曲が分析できるわけではありません。

このサイトが取り扱える曲の範囲は、いわゆるジャズのスタンダード曲で、ガーシュインやコール・ポーター等の作曲した今からだいたい70~80年以前の曲だと思ってください。それ以降の曲特にジャズミュージシャン自身が作曲した曲などには、このサイトでは取り扱わない理論がベースになっているものも多々ありますので、分析していて、分からないところが出てきても決してめげないでください!
※感覚的に言えば、日本のジャムセッションで使われる定番本になっている納浩一さんの「ジャズ・スタンダード・バイブル」(通称黒本)に掲載されている8割の曲は、このサイトの理論でコードスケールが導き出せます。

③ここで求めている最終的なものはコードスケール。 どうしても分からない時は基本に戻ってあたりをつける。

コードスケールとは、アドリブを演奏する上で、軸となる音階です。ひらたくいうと、その音階の音を演奏していれば、音は外さないという魔法の道具です。このサイトではどうやったら、そのコードスケールを導きだせるか?を解説しているわけなのですが、上記の通り、全ての曲が分析できるわけでもありません。また、曲の一部分だけ、どうしても分からない。という状況もでてくるかと思います。でも、もしもそうなっても決してめげないでください。その時は、コードスケールの導き出し方の基本「コードトーンの間を、そのコードが置かれている調性の音階で埋める」に戻り、自分の耳を信じて、推測でスケールを出してください。かく言う私も自信を持って、「このスケールはこれだ!」と言えないまま、よく分からないで演奏している曲などたくさんありますので、いざという時は自分の感覚を信じて演奏しましょう!

演奏者にとって最後に信じるものは自分の感覚でありたいと思います。(そのためにも日々の訓練!)

④理論はあくまでも理論

③でも書きましたが、コードスケールとはその音を演奏していれば音が外れない便利なものです。そして私を含め音楽的優れた感覚を持っていないだろう大多数の人々によって努力によって、より高いレベルにたどり着ける道しるべ的な、とても大事なものだと思います。

ただその一方で理論の積み重ねだけでは 、ただの音であり音楽ではないと私は思います。僕が大事に思うのは、演奏の8割くらいを、しっかりとしたもので(理論に基づくアプローチ)で固めて、最後の2割は感覚的でありたいと思います。練習は基本に忠実に(人前での)演奏は培った基本の上での応用編!全てを忘れて演奏に集中!
※練習は演奏の時に全てを忘れて演奏出来るためのものだと思います。

技術(言葉で説明できるようなもの)は真似できますが感覚(言葉では説明が難しいもの)は各自のものなので、そうそう真似できるものではありません。もちろん参考にするのはよいことだと思いますが、それよりも*各自が持っている感覚を磨いていくことが大事かと思います。そのような努力の積み重ねがきっと人をひきつける魅力的な音楽になるのでは?と思います。

※語学を学ぶ時に、いきなり有名な作家の文体を真似したりしないように、アドリブ習得の最初の段階では、まずは自分でフレーズを作ることをお勧めします。偉人たちのフレーズを研究したり真似するのは、ある程度自分でフレーズが作れるようになってからをお勧めします。

全てを学び、そして忘れろ。 マイルス・デイビス

このサイトの合い言葉にしたいと思います。

*人は、それぞれ固有のメロディーを持っている。 ギル・エヴァンスの言葉です。

ディミニッシュコードのスケール

ジャズ理論 目次(その他の項目)

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ディミニッシュコードのコードスケールの導き方。

パッシング・ディミニッシュとクロマティック・ディミニッシュと分析されたディミニッシュコードのコードスケールは、コードスケールの基本通り、コードトーンの間をそのコードが置かれている調性の音階で埋めていきます。例えば上記の パッシング・ディミニッシュとクロマティック・ディミニッシュ が置かれている調性はハ長調ですので、各コードトーンの間を、ハ長調の音階で埋めていきます。

ここで少し気をつけなくてはいけないことは、いくつかの箇所で、ハ長調の音階が2音あり選択肢が2つあることです。この時の選択基準は、ディミニッシュ・コードの次に来るコードのコードトーンを選びます。

※1 
シとドの選択肢があります。C#dim7の次のコードがDm7の時はそのコードトーンにドがありますので、ここではドを選びます。

※2
ミとファの選択肢があり。D#dim7の次のコードがEm7の時はそのコードトーンにミがありますので、ここでは ミ を選びます。

※3
ミとファの選択肢があります。F#dim7の次のコードがG7の時はそのコードトーンにファがありますので、ここでは ファを選びます。

※4
ミとファの選択肢があります。E♭dim7の次のコードがDm7の時はそのコードトーンにファがありますので、ここでは ファを選びます。

オグジュアリー ・ディミニッシュ・ コードのコードスケールは、上記のようなやり方で導き出す方法もあるのですが、あまり使い勝手の良さそうなコードスケールではないので、このサイトではルートから全音程、半音程を繰り返すディミニッシュ・スケールを選ぶことにしました。このスケールがどういう理由でコードスケールになりえるのか?については、どの理論書にも詳しくは書いてありません。私も、なんとなく、こんな理由なんだろうな、という事くらいでしか理解していません。ただ実際の曲では、ほとんど出てこないコードタイプなので、 オグジュアリー ・ディミニッシュ・ コードのスケールは、あまり気にしなくても実害はないと思います。

注1)
D#dim7 と E♭dim7 は異名同音でコードトーンは全く同じですが、次に出てくるコードが違うため、それぞれのスケールも違ってきます。

注2)
ディミニッシュ・コードのコードスケールには、特別な名前は決まっていないようです。
本サイトでは便宜上、下記のように表します。ただし パッシング・ディミニッシュ・スケール は 固定の音階をもたないため一つ一つ、コードスケールの音を確認する必要があります。

パッシング・ディミニッシュ・スケール(略記 P.Dim)

クロマティック・ディミニッシュ・ スケール(略記 C.Dim)

オグジュアリー ・ディミニッシュ・ スケール(略記 A.Dim)

ディミニッシュ・コード

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音楽理論的にはディミニッシュ・コードの3和音 例えば Cdim と Cdim7 は分けて考えるのですが、実際のジャズの演奏の中では、この二つを明快に分けて考えて演奏することはないと思います。例えば仮に楽譜に3和音で Cdim と書いてあっても、あまり気にせずにCdim7 として演奏することが多いと思います。

3つのディミニッシュ・コードタイプ

分析時のコード機能は3つのタイプ全てDimを丸で囲み示します。

①パッシング・ディミニッシュ (ディミニッシュ・コードの上行アプローチ)

ディミニッシュ・コードで最もよく使われるタイプで、ダイアトニック・コードに対して半音下から上行するアプローチです。多くの場合、同じ増4度の音程を持つセカンダリードミナントの代理の役割を果たしています。以下が良く使われるパターンです。(ディミニッシュ・コード単独でダイアトニックコードに半音下からアプローチすることも多いです)


例① ♯Ⅱdim7
|C |A7 |Dm7 |~  →  |C |C♯dim7 |Dm7 |~
A7に含まれている増4度音程(ド♯とソ)をもつC♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例②  ♯Ⅲdim7  
|Dm7 |B7 |Em7 |~  →  |Dm7 |D♯dim7 |Em7 |~
B7に含まれている増4度音程(レ♯とラ)をもつD♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例③  ♯Ⅳdim7
|FMaj7 |D7 |G7 |~  →  | FMaj7 |F♯dim7 |G7 |~
D7に含まれている増4度音程(ファ♯とド)をもつF♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

例④  ♯Ⅴdim7
|G7 |E7 |Am7 |~  →  |G7 |G♯dim7 |Am7 |~
E7に含まれている増4度音程(ソ♯とレ)をもつG♯ディミニッシュ・コードが代理となります。

②クロマティック・ディミニッシュ   (ディミニッシュ・コードの下行アプローチ

クロマティック・ディミニッシュはダイアトニックコードに下行してアプローチするコードです。
パッシング・ディミニッシュ と違い強い解決感がないためなのか、あまり パッシング・ディミニッシュ に比べて目にする機会は少ないと思います。
最も使用頻度が高いのが(ハ長調の場合)|Em7 |E♭dim7 |Dm7 |  になります。


③オグジュアリー・ディミニッシュ (ディミニッシュ・コードの補助的?予備的?アプローチ)

※?とつけたのは、適切な日本語の訳がないようなので、こんな感じの意味かな…程度に捉えてください。

オグジュアリー・ディミニッシュ は曲中では、ほとんど出てくることはなく、主に使われる時はアレンジの時かな…と、個人的には思います。よく使われるのは Ⅰ6、 ⅠMaj7 や Ⅴ7が長い間使われる時に、この オグジュアリー・ディミニッシュ を挟んで雰囲気を変えたりします。


① |C Cdim7 | C   |

② |G7 Gdim7 | G7 |

※転回系コードの進行

コード進行の中で  
① |D♯dim7 |C/E  | ~  
② |F♯dim7  |C/G | ~ 
などのディミニッシュ・コードが転回系に進む場合があります。このようなケースの場合2つの考え方ができます。

パッシング・ディミニッシュ として考えた場合
①なら本来Em7に行くところが代理コードして違うトニックコードに進んだ。②なら通常ならG7に進むところ、よくあるパターンとしてG7の前にC/Gが置かれたと考えて、 パッシング・ディミニッシュ として分析する。

オグジュアリー・ディミニッシュとして考えた場合
①の D♯dim7 は転回するとCdim7 ②の F♯dim7 も 転回するとCdim7  したがって両方とも次のコードに対して、きわめて オグジュアリー・ディミニッシュ に近い響きを持っていると考えて、 オグジュアリー・ディミニッシュ として分析する。

どちらの考え方を選ぶかは、そのコードが置かれた、前後の流れ、テンポやコードの配置・拍数などを総合的に考えて決めるのが良いと思います。

SFDとしての♭Ⅶ7とM.I.としての♭Ⅶ7の違い

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この項に関しては、かなり独自の感覚です。演奏していて従来の多くの理論だと拾い切れていない部分があるような気がしていまして、ある意味「こんな考え方もあるよね?」的な問題定義だと思ってください。

私がなぜSFDとしての♭Ⅶ7とM.I.としての♭Ⅶ7を分けて考えるのかというと、多くの理論書は、 ♭Ⅶ7 のコードスケールをリディアン♭7だけで説明しているように思えます。

ただ、演奏していると、ここはミクソリディアンでもいいよなぁ。と思えるところが多々あります。

この感覚は 私がわざわざ声高々に言わなくても、多くのジャズミュージシャンは感覚的に分かっている部分だと思います。つまるところ「どっちでもいいんじゃない?」っていう感覚です。

確かに、その通りなのですが、初心者の方にとっては、この 「どっちでもいいんじゃない?」 は、結構な確率で「で、どっちなの?」という感じで困ると思います。せっかく理論のサイトを書いているのでこの際、本サイトの基準を示したいと思います。

♭Ⅶ7 のスケールの可能性は リディアン♭7 か ミクソリディアン です。この両者のスケールの違いは1音のみ。スケールの4番目の音が♯するか♮のままかです。たとえばハ長調でいえば、 ♭Ⅶ7 のコードはB♭7になり リディアン♭7 か ミクソリディアンの差はミの音が♮か♭かです。

ミの音はハ長調にとって第3音なので ♮か♭ は結構重要かと思われます。簡単に説明するとハ長調との調性的な距離間で決めるのがいいと思います。すなわちハ長調にできるだけ近い感じで演奏したいならミが♮になる リディアン♭7 。ハ長調から遠く離れたい感じで演奏したいならミが♭になる ミクソリディアン を選ぶ。これが私の基本的な考え方です。

ただ実際の曲の中ではメロディーとの関係、前後のコードとの関係、曲のテンポや、コードに対する拍数など、いろいろな観点からスケールを考えのがいいと思います。

※クリックすると拡大します

※1 ※2 メロディーから考えて(著作権に詳しくはないのですが、メロディーを書くと引っ掛かりそうなので省略します。各自で調べてください)3~4小節目、7~8小節目は調性から離れている音が使われているために、一種の転調のような感覚がありM.I.として分析して( ミクソリディアン またはリディアン♭7二つの選択肢の中で比べた時) 元の調性から遠くなる ミクソリディアンを選択。もちろん次のコード(元の調性)に、より滑らかにつなげるためにリディアン♭7の選択も可能。

※3 メロディーのレの音から考えて二つの選択肢 ( ミクソリディアン またはリディアン♭7 )から リディアン♭7 を選択。(ここでは理論的にはミクソリディアン の選択は考えにくい)

※4 今回のテーマとは関係ないがE♭Maj7のスケールにイオンニアンの選択も可。転調やモーダルインターチェンジコードとして分析も可能だが、2小節と長いので、今回は元の調性を意識させるためリディアンを選択。